8月号の【見どころ】
化学装置8月号の巻頭言『基礎技術の修得』(日揮・竹内敬介氏)での概要を紹介する。次の通りである。
「最近、当社に入社してきた技術系の新入社員に、どんな勉強をしてきたのか、出身学科を聞いてみると、学科の名称が以前とは様変わりしていることに驚かされる。化学工学系の学科名称でいえば、かつては反応工学、分離工学、粉体工学、プロセスシステム工学といったようにほとんどの大学で化学工学の手法を名称にしていた。」「しかし、最近では時代のニーズを反映し、バイオ、環境、生命といった化学工学が対象とする分野を学科名にするところが増えてきているようだ。化学工学科という名称の学科も少なくなってきており、大学で化学工学を専攻した者の一人としては、一抹の寂しさを覚えないわけではないが、多様な要素技術を基盤とする化学工学の幅の広さ、応用性の高さをまさに物語っており、素直に喜んで良いのかもしれない。」…(中略)…「当社は、エンジニアリング会社にとってコア技術である化学工学を学んだ大学院生、学部生を常に一定数採用しており、海外の大学を卒業した日本人学生や外国人も採用している。設計部門に聞いたところ、アメリカなど海外の大学で「Chemical Engineering Course」を学んできた学部卒業生は、日本の大学院で修士課程を卒業した学生と比較して、化学工学の基礎に関する知識、理解力で全く見劣りしないし、ディベート力などビジネスマンとして必要なスキルも幅広く身に付けており、場合によっては海外大学の学部卒業生の方がレベルは高いというのである。こうした状況の背景には、日本の大学院修士課程の研究・教育内容に理由があるのではないかとの見方がある。」…(中略)…「大学教育の現場で修士課程の大学院生は、時代のニーズに沿ったテーマに取り組む教授や准教授の下での応用研究に携わることになる。修士課程の大学院生全員が研究者になるのならそれでも良いかもしれない。しかし、大多数の大学院生は企業に入ってエンジニアになっていく。企業にとっては中途半端に応用研究に関わった学生よりも、化学工学の根幹である単位操作、つまり物質・エネルギー収支、物質移動、反応・流動・分離プロセス、そしてプロセス設計や装置の運転に関する基礎的な技術知識をしっかりと学んできた学生の方が、それぞれの企業で応用が効き、実務を通じて大きく伸ばしていくことができるという意見もある。」「現在企業の実態は、技術系社員に対し、業務の効率化を重視してマニュアルを与え、ITツールの活用用法を学ばせるなどに重点を置いてしまったことで、データのインプットばかりに囚われ、出てきた結果を検証できない社員が増え、様々な場面で問題が出てきているのが実態である。」「技術系の大学院は、日本の産業界に高等技術を学んだ有能な人材を供給する役割も負っていることを改めて強調したい。応用研究のみに走ることなく、基礎研究とのバランスの取れた研究に取り組んでもらい、日本国の持つ世界に冠たる技術力の維持、向上に貢献してもらうことを強く望む。」と竹内氏は発言している。
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ITEM NAME | 化学装置 2017年8月号 |
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ITEM CODE | PAP201708-f~PAP201708-m |
PRICE | 1,848~22,176 円(税込) |