7月号の【見どころ①】
今月号の特集は『原薬工場・製剤製造の連続化と最新封じ込め技術』である。その一つの “原薬・製剤製造における封じ込めの現状”( 中澤 研一氏)では、次のように述べている。
すなわち、「高薬理活性医薬品の市場への供給は近年増加傾向にある。その増加に伴い、医薬品研究および製造現場においても、研究者や製造作業者が高薬理活性物質を取り扱うことが多くなってきている。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病やガン、認知症などのアンメット・メディカル・ニーズに対して、従来の低分子医薬品では治療が困難であった疾患に対する創薬研究対象としてバイオ医薬品の比重が高まっており新薬の中では抗ガン剤の割合が多くなってきている。また後発品は後発品シェア80%以上に高める政府方針が発表された。このような背景から抗ガン剤や効果の高い高活性化合物等の高薬理活性医薬品のニーズが拡大している。このニーズの増加に伴い、医薬品研究および製造現場において、高活性物質を扱う現場では、GMP要件としての交叉汚染防止と労働安全衛生上の作業員曝露防止の二つを同時に満足させる必要がある。併せて、マルチパーパス設備で高活性物質を扱う場合、交叉汚染防止のためにより確実な洗浄が必要とされる。洗浄リスクを考えると洗浄しないシングルユースでの利用などの検討も必要である。」と指摘している。
さらにその他の項目では、「既設設備の封じ込め設備への改造での問題点」「封じ込めシステム」「フレキシブル素材を利用した封じ込め対応」「既存設備への封じ込め対応」「フレキシブル封じ込めシステムの課題と今後」等について言及がなされている。
7月号の【見どころ②】
隔月連載の第2話『プロセスの安全設計と最近の化学装置』(澤 寛氏)では、“プロセスの安全設計と最近の化学装置”を取り上げている。その概要は次の通りである。
「化学プラントの安全な操業を考えた時まず重要なことはそのプロセスに含まれる多くのリスクをできるだけ低減した安全設計となっていることと、その設計思想がプラントを実際に運転する人に正確に理解され設計意図にしたがった運転が継続されることが重要である。そのためまず、設計者はできうる限り本質安全設計の手法を取り入れて、本来化学品の持つ反応性、発熱、燃焼、毒性などのリスクを低減しながら反応プロセスを安全に実現するプロセスを設計することが重要である。」「本質安全の考え方の適用に関して機械装置と化学プロセスではどちらもリスクに着目してリスク低減を実現することを目的としているが、それぞれのリスクの着目点が異なるため実現の方法には多少の考え方に違いがある。つまり化学装置の本質安全はまず化学品が持つ漏えい時の毒性、火災・爆発の際の危険性の低減に着目している点が大きな違いである。」…中略。さらに、「本質安全の実施の第一歩のステップはリスクの属性そのものをなくすことを考えることにあり、例えば引火性・可燃性のある物質の使用はやめて不燃性のものにしたり、毒性の高い化学品を毒性の低いものとするための置き換えを考慮することである。この考えは一次本質安全と呼ばれる。次にリスクマトリックスからも明らかのように、事故の発生時の酷度を下げるためにその影響を局限化できる方法を考えることである。そのため、第一に危険物の保有量を下げることが重要である。反応器の保有量を下げるために有効な方法は高い攪拌効率を持つ攪拌装置を採用することにより実現される、また撹拌効率を上げることは反応時間の短縮による生産性の向上ももたらす場合も多い。」「また、撹拌効率を上げるための装置には効率の良い核は羽の採用だけでなくインラインミキサーの使用など回転翼以外の方法でも実現されうる。また危険物の保有量を低減させるには、運転調整から大きな中間タンクを設置することもよくあるが不必要な中間タンクを設置することは大きな事故発生の原因となる。」と。…以下、「受動的安全」「能動的安全」「運転対応安全」等について解説がなされている。詳細は本誌を参照頂きたい。
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ITEM NAME | 化学装置 2017年7月号 |
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ITEM CODE | PAP201707-f~PAP201707-m |
PRICE | 1,848~22,176 円(税込) |