【見どころ】
『究極の重質油分解装置(消費地精製の総仕上げ)』を化学工学会SCE・Netエネルギー研究会の原晋一氏より御寄稿を頂いた。
氏曰く、「石油エネルギーは、気候変動の問題もあり、世界的にはその伸びの抑制が叫ばれているが、エネルギーとしての利便性や価格から今後30年はエネルギーの主役であると予想されている。我が国においては人口減少による需要の減少が大きく、石油産業規模の縮小が避けられず、企業の統合や連携が進められている。」と指摘する。
続けて、「この統合・連携により、生産効率の悪い製油所は生産停止となると考えられるが、その先、今後考えられる船舶燃料の低硫黄化や、電気自動車の普及等にそる製品構成の変化、さらには地政学的要因による原油ソースの不安定化や温暖化問題から、装置産業である石油精製においては装置構成を大きく変えて対応する必要であると考えられる。」「そのためには、石油資源量が多くかつ中東地域以外の地域に賦存している超重質原油の処理可能化や、需要がほぼ無くなる重油生産の停止や、質的に需要の持続性が続くと考えられる中間留分石油製品の生産への特化が必要である。その方法は、原油中にある重質残渣油、特に減圧残渣油を、分解する能力を拡大することだが、現在進んでいる企業の統合・連携により原油処理装置の停止、引いては減圧残渣油分解能力の上昇が行われる事は期待されている一つの動きである。ただ、さらに将来必要と考えられる燃料重油生産の完全停止化や、原油ソースの重質化に対しては、原油の重質化もあり不十分で、中間留分を多く生産でき、かつ超重質原油を含む重質油を完全分解できる重質油分解装置の新設、その中でも原油中の最重質留分である減圧残渣油をほぼ完全に分解できるスラリー床水素化分解装置の新設が、効果的である。その時、投資効果を大きくするには、現在進んでいる統合・連携の動きをさらに進め、装置産業の特性を生かすべく、各製油所・企業が共同で大規模な重質油分解装置を建設・運営することが効果的である。このことにより、原油がほとんど無い我が国が石油産業の基本方針として設定してきた、消費地精製主義の総仕上げが行われると考えられる。」と。
今回、石油産業の統合・連携の生産サイドから見た意味と、その動きを受け継ぎ、今後さらに必要とされる生産効率化のあり方を“石油精製技術”の面から、経済性を含め、5月号以降、計3回に渉って解説して頂くこととなった。
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ITEM NAME | 化学装置 2017年4月号 |
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ITEM CODE | PAP201704-f~PAP201704-m |
PRICE | 1,848~22,176 円(税込) |