【見どころ】
松村眞氏が『ごみ発電が収益を生む時がきた』――巻頭言でのご発言(一部抜粋)。
「…バイオマスなどの再生可能エネルギーも、発電設備を拡充して少しでも多く電力供給に寄与することを期待したい。再生可能エネルギーの利用拡大は、地球温暖化の抑制に望ましいだけはない。ガスや石油など輸入燃料への依存度を軽減できるから、エネルギーセキュリティーの観点でも意義が大きい。
固定価格買取り制度は、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマス発電が対象である。地方自治体が管理する清掃工場のごみ発電も、バイオマス発電の一種として対象になり、焼却ごみがバイオマスだけなら1kWh当たり17円で電力会社が買取る。実際はプラスチックなど非バイオマスごみが含まれており、その寄与分には固定価格が適用されないので、16円程度が買取り単価になる。ごみ発電の買取り単価は、従来、清掃工場ごとに地域の電力会社との契約で決められていた。このため地域によって異なるが、昼間が12円程度、夜間は6円程度が多かった。この単価が昼夜の別なく16円程度になったのだから、清掃工場を管理する地方自治体は売電収入を増やせるのである。
現在、日本には約1210ヵ所に清掃工場があり、このうち約660がごみ発電に適した24時間連続稼働工場である。だが約360工場は発電設備を保有していない。従来は買取り単価が低かったから、連続稼働工場でも発電関連設備の投資効果が必ずしも高くなかったからである。だが買取り単価が大幅に高くなったので、投資効果は大幅に改善されたといってよい。筆者が試算したところ、発電関連設備の導入で、少なくとも10工場以上が年間8億円を上回る収入を期待できる。一方、約300の清掃工場は発電設備を保有しているが、このうち110工場は発電効率が10%にも達していない。売電を想定せず、自家消費分さえ賄えばよいとする考えだったのである。だが欧米の清掃工場は、発電効率が25%を超える工場が少なくない。日本でも15ヵ所以上の清掃工場が、20%を超える発電効率で稼働している。したがって発電効率の低い工場は、設備を改善して出力を増大させれば、売電して収入を得られるであろう。すでに売電している工場は、発電効率を向上させれば売電収入を増大させることができる。これも筆者の試算だが、発電効率の向上で少なくとも10工場以上が、年間10億円を上回る収入の増加を期待できる。…」と力説する。
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ITEM NAME | 化学装置 2015年3月号 |
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ITEM CODE | PAP201503-f~PAP201503-m |
PRICE | 1,848~22,176 円(税込) |