■今月号の見所
①リチウムイオン電池(LIB)の20年間の進化は、電池を完成品として組み上げ総合的な技術力の向上もさることながら、電池を構成する正極材料、負極材料、電解質、セパレータといった主要4部材における技術革新によるところが大きい。これら4部材の進化には、それぞれを構成する原料と製造・加工技術の進歩が欠かせないが、正極材料・負極材料は、粉の状態で加工される段階が必ず存在することから、ここで粉体技術が果たす役割は非常に大きい。この話題に関しては、「省エネ型気流乾燥機による粉砕と乾燥の同時処理と経済効果-媒体撹拌型気流乾燥機『ゼルビス』-」(ホソカワミクロン・東 充延氏)にて、解説されている。
②ロータリーキルンの原理は、傾斜した円筒状の炉体の上流から原料を投入し、原料を回転しながら加熱焼成し、製品として落ち口に回収する装置である。今月号で紹介されている“真空式ロータリーキルン”は金属の水素脆性(金属が水素を吸って脆くなる性質)を利用して、希土類金属磁石合金や水素吸蔵合金用製造工程中の粉砕装置(特に粗粉砕用の)としての活用を提案している。詳細は、「真空式ロータリーキルンによる希土類合金などの水素化粉砕技術」(岩佐機械工業・佐野忠勝氏)を参照頂きたい。
③最近では、電気自動車用電源や定置用蓄電池にも適用されてきているリチウム二次電池。ここで、このような大型用途へ向けてより一層の電池の高エネルギー密度化が求められている。この要求に応えるためには、正極だけでなく負極に関してもその容量を飛躍的に増大させる必要がある。リチウムと可逆的な合金化反応を示すケイ素やスズなどの元素は現行の負極材料である黒鉛に比べ格段に高い理論容量を有するため、次世代負極材料としての応用化が期待されている。今回の寄稿論文「次世代蓄電池用負恐懼創製のための活性物質合成・電極作製システム」(鳥取大学・薄井洋行氏、坂口裕樹氏)では新規負極材料探索のための独自に設計・構築した活性物質合成・電極作製システムが紹介されている。
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ITEM NAME | 化学装置 2013年3月号 |
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ITEM CODE | PAP201303-f~PAP201303-m |
PRICE | 1,848~22,176 円(税込) |